Origamiという旅。

Shingo Fushimi | 伏見慎剛
6 min readMar 7, 2020

創業期から7年半を過ごしたOrigamiという会社は大きな節目を迎えました。発表から時間も立ったので、自身の誕生日に少し振り返ってみようと思います。

2012年10月からまだマンションの部屋で何もないところから始りました。今でも覚えているのは、苦楽を共にしたメンバーとマンション共用部で打ち合わせをし管理人さんに怒られながらも、毎日遅くまで多くの時間を過ごし、週に何度も油そばを食べてから家に帰る毎日です。(1番最初の仕事はPSPの選定だった気がします)

そして世の中に初めてサービスを出したのが2013年4月23日。

このローンチにあたり、ローンチ前にSeriesAをクロージングすること、当時はモバイルECのマーケットプレイスからスタートだったので、その加盟店を集めることに奔走していたと思います。当時話題の特定商取引法がどうのとか、サービスローンチ前に5億集めるとか、相当クレイジーな毎日だったことを覚えています。

いざローンチしてみると、そこからが本当に楽しくもあり大変でもありました。元々、今で言うスマホ決済(オフラインのスマホ決済)をやりたかったものの、ビジネス/開発ともに潤沢なリソースは全くない中で、どうやりくりするのか。またどう次のEquity Storyをつくるのかの狭間でもがく毎日でした。(ECのトランザクションを目検でモニタリングしてverifyしたり、カスタマーサポートの年末年始どうするのとか、ECの加盟店に振込をしなければいけないのでSQL学んでデータ作って振込フォーマットに変えてダブルチェックしてWinしか動かないネットバンクの画面みて…地獄の運用だった気がします)

マンションの次に一軒家に引っ越しをしたのですが、その一軒家に大量のアリが発生したものの、日本っぽくない感じが心地よかった気がします。

2015年4月にSeriesBをクローズできました。

直前までは、本当に死ぬかと思いましたが、ドラマティックなことが何個か重なり、何とか登ることができたことにホッとしたことを覚えています。スタートアップのFinanceは正しい打席の入り方とその打席の数だと学んだことを覚えています。

同時に本格的な仲間集め。LinkedInとかWantedlyとかそれっぽいツールを調べては登録して、とりあえず使ってみてソーシングする。毎日20–23時は30分刻みでオンラインのカジュアル面談的なことしていた気がします。仲間集めは常にやるべきことなのと、大切さ難しさを本当の意味で学んだように思います。

仲間も増えたのでアリが出る一軒家から表参道のオフィスに引っ越すことができました。

2015年10月にOrigami Payのβ版(Pay with Origami)として、スマホ決済を出すことができたこと、そして2016年5月にOrigami Payの正式版をリリースすることができました。

当時はQRではなくBloothtoothで出したことも懐かしいです。お店にアクセプタンスシールが貼っていないと使われないよねとか、何でお店は導入するんだっけとか、何でユーザーは使うんだっけということを考える苦しい毎日でしたが、それを支えたのは「絶対こうなる」と信じる力だったのかなと思います。

たまたま、高校時代までを過ごした地元の岐阜に、美容室がありそこに頼み込んで導入をしてもらいました。その美容室で髪を切っていた大垣共立銀行の役職者の方との出会いが始まったのも忘れられない想い出です。

Origamiだけが吠えていても変わらないので、マーケットに何か変化は起きないかと悶々としていた時に、LINEさんが参入してきたり、経産省がキャッシュレス周りの国策の手前の検討をし始めていたのに正直ホッとしました。

また、リアル世界の店舗は本当にたくさんあり、店舗のインターネット化だと思って汗をかく毎日。ただ、リアル店舗へのアクセスは非インターネットでのコミュニケーションとなり、極めて労働集約型で、とてもじゃないけどお金がもたないジレンマを抱えながらウルトラCはなんかないのか、常に頭の中から消えない日々を過ごしていた気がします。

とある夏の日に、高崎駅の近くにある信用金庫さんに呼ばれまして決済の未来的なお話をしに行った際に、信金中央金庫というのを恥ずかしながら初めて知りました。その会に参加してくれた信金中央金庫の方々との出会いで、リアル店舗へのアクセスを得たことは、今思うと、ものすごく大きな財産でした。(高崎がとにかく暑かったのもいい思い出です)

2018年9月20日に、初めてのビジネスカンファレンス Origami Conference 2018を開催しました。同時にSeriseCについても発表をしました。これも本当に苦しかった。とにかくどこかにお金はあるんだと信じて行動するしかないと思って走り回っていた記憶があります。集まる局面には集まる。その最初の集まる局面を作るにはとにかくリード投資家というか最初に投資を決めてくれることが大事で、その旅は途方もなく長かったように思います。

スマホ決済プレイヤーも出揃い始めたのがこの頃で、とにかくプレゼンスを出すために加盟店を獲得する毎日。大きな法人/店舗は自分たちで、小さな店舗は戦略的に、とにかく走った毎日でした。運用効率化と新規提携や新サービスとのバランスの苦しみを感じながら、前しかないと信じて、リソースや色んなハレーションは分かりつつももがいていた気がします。

2019年。明確に戦略での差別化を出すことを決めて発表し、同時にSeriesDの山登り。人生で最も濃密で苦しい時間でした。2019年11月くらいから2020年1月のいろいろな出来事は一生忘れないと思います。(ここはもう少し頭の整理をしたいので割愛…)

そして今、PMIの中でサービスの融合や移行などをOrigamiとしてメンバー共にやりながら(みんな優秀なのでほぼ任せてしまってごめんなさい、スタバおごりますmm)、メルペイとしてGrowth&Strategyをみていくという日々を過ごしています。まだ1週間でキャッチアップに追われる中で、色々と教えてもらっています。メルペイも本当に優秀な人がたくさんいて、総じて人に恵まれてきたなと感じる毎日です。

2020年3月7日。34歳になりました。

スタート早々から、ブラックスワンだ、リセッションだという波乱感満載になりそうですが、波はあった方が楽しいと信じて生きていこうと思います。

35歳までを1つの区切りかなと思っていたのであと1年どう過ごすか考える1年にしたいなと思います。

Origamiという旅の終わりと、その次の旅を探して行こうと思います。

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Shingo Fushimi | 伏見慎剛

Lens, Inc. Co-Founder & CEO | ex. メルカリ、メルペイ、メルコイン、Origami、リクルート。 大垣共立銀行の顧問、シンプルフォームのアドバイザー